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アサシンギルド内イベント情報 開催予定のイベント たーさんおかえりなさい!アサシンギルド再始動! 過去のイベント 正月イベント
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public class SequenceItem extends ObjectItem { String minValue; String maxValue; String incrementBy; String cycleFlag; String orderFlag; String casheSize; } ---- 作成日:2007/12/04 H.Naito 更新日:2007/12/04 H.Naito ----
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前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― タルブの村を奪還してから半刻程経ち、空が僅かに明るみ始めた頃……。 エツィオは村の中央に据え付けられた物見櫓の上から、迎撃の準備を整える傭兵達を俯瞰していた。 先ほど、エツィオが進んで死者の埋葬を行ったためか、兵士たちの士気は高いようだ。劣勢にありながらも逃げだそうとしなかったあたり、彼らは元々質のいい傭兵団だったのだろう。 村に運び込まれた大砲を据え付けている彼らを見て、エツィオは共に戦う仲間達がいることをうらやましく思った。 ルイズ達は確かに大事な仲間なのだが、自分が孤独なアサシンであることに変わりはないのだ。 「アウディトーレ」 そんな風に物思いにふけっていると、背後から名前を呼ばれエツィオは振り向く、梯子を上ってきたアニエスがひょこっと顔を出した。 「兵の一人に首をもたせて本陣に向け出発させた。最も馬の扱いに長けた者だ、迂回するルートとはいえ、おそらく夜明け前までにはラ・ロシェールへ辿りつけるだろう」 「彼の遺体は?」 「首を取った後、埋葬した」 「そうか……。わかった」 エツィオは一つ頷くと、大草原の上空に浮かぶアルビオン艦隊を見上げる。 旗艦『ゴライアス』号を始めとしたアルビオン艦隊は、三千メイル上空で、ラ・ロシェールを中心に展開したトリステイン艦隊と睨みあっている。 「さて、どうしたものかな……」 エツィオが小さく呟き首を傾げると、隣に立ったアニエスも空を見上げた。 「アルビオン艦隊か」 「ああ。これが海だったらまだ何とかなったんだろうけどな、空に浮いてるんじゃ手も足も出ない」 「流石のお前も、艦隊には歯が立たぬか」 「生憎、俺は空を飛べなくてね。最も、飛べたとしてもアレの相手はご免だけどな」 「ふふっ、なるほど、お前も人の子と言うわけか」 エツィオが笑みを浮かべ肩を竦めると、アニエスもつられてクスッと笑った。 「まあ、艦隊の相手はトリステインに任せるとするさ。俺達には俺達のできることをしよう。そう言えば、元々ここの指揮をしていた指揮官はどうした? 討ち取れたのか?」 アニエスは首を横に振った。 「いや、まだだ。ここを制圧する時に指揮を執っていた指揮官は、ヴィリアーズ公の到着に合わせ前線拠点へと向かったようだ。 捕虜からの聴取によると、そいつが地上部隊の副指令にあたる、ということだそうだ」 「前線拠点?」 アニエスはなにやら筒のようなもの取りだすと、エツィオに手渡した。 「これは? 何に使うんだ?」 筒を受け取ったエツィオは小さく首を傾げアニエスに尋ねる。 するとアニエスは、僅かに眉間にしわを寄せた。 「はあ? お前、ふざけているのか?」 「いや、ふざけるも何も、初めて見たんだ、これは何をする道具なんだ?」 本当に何も知らないと言いたげなエツィオに、アニエスは唖然とした表情で見つめた。 「何って、これは遠眼鏡だろう? まさか、本当に知らないのか?」 「だからそう言ってるじゃないか……」 肩を竦めるエツィオに、アニエスは遠眼鏡をひったくると、筒を伸ばし、端についた小さいガラスを指さした。 「ここを覗いてみろ」 「どれどれ……? うわわっ!」 言われたとおりエツィオが遠眼鏡を覗き込む。そして驚きの声を上げた。 それからエツィオは、まるで新しいおもちゃを与えてもらった子供のように何度も遠眼鏡を覗きこんだ。 「これはすごいな! 遠くのものが近くに見えるのか!」 「まったく……、遠眼鏡も知らんとは……何なんだお前は?」 アニエスは目の前で無邪気にはしゃいでいるエツィオを見つめ首を傾げる。 その様子は、どこか子供っぽく、とてもアルビオン軍がその名を聞いただけで震えあがるアサシンとは思えなかった。 「……堪能したか?」 「あ、ああ。レオナルドの奴に見せたらどんな顔をするかな」 「なによりだ、本題に戻ってもいいか?」 にこにことほほ笑むエツィオに、アニエスはこほん、と小さく咳払いし、草原の片隅を指さした。 「あの寺院が見えるか?」 遠眼鏡を再び覗き込むと、なるほど森と草原の境目あたりに古びた木造の寺院が見えた。 「ん、ああ……、随分変わった形だな」 「ずっと昔、ここの村の住民が建立したものだそうだ。何が祀られているかは知らないがな」 「なるほど……。篝火に……歩哨が見えるな、となると……」 エツィオが呟くと、アニエスが肯定するように頷いた。 「ああ、アルビオン軍だ、そこに地上部隊副司令官がいる」 「そいつの名は?」 「ウィリアム・フィールディング。お前の標的である貴族議会の議員ではないが、それでも名のある貴族らしいな」 「なるほど……、副指令と言うことは、彼が新しい司令官になるのか」 エツィオは遠眼鏡から目を離すと、小さく畳んで腰のポーチにしまい込んだ。 東の空を見上げると、僅かに空が明るくなりつつある。エツィオは顎に手を当てなにやら考えると、アニエスに尋ねる。 「奴らの予定では、夜明けと共にラ・ロシェール攻撃だったな」 「そうだ、無論トリステインもそれを察している、ヴィリアーズ公の死でどう影響が出るかはわからんが、空は空、陸は陸で両軍のぶつかり合いになるだろうな」 「そうか……、なら、先手を打っておく必要があるな」 エツィオはニヤリと笑うと、突如手すりに足をかけ、物見櫓から飛び降りた。 アニエスが驚いて櫓の下を見やる、するといつの間にか馬に跨ったエツィオが、こちらを見上げていた。 「アニエス! 俺が戻るまでの間、留守番を頼む!」 「待て! アウディトーレ! どこに行く気だ!」 「新しい司令官殿に御挨拶をな! 開戦前までにケリを付ける! 戦いの準備を怠るなよ!」 「あっ、おい!」 エツィオはそれだけ言うと馬の腹に蹴りを入れる、驚いた馬は馬首を上げながら一声嘶くと、村の外へと向け一直線に走り出した。 「くっ……! 好き勝手言ってくれる……!」 物見櫓に一人残されたアニエスは、苦い表情で呟くと、地上でぽかんとアサシンの姿を見送っていた傭兵を怒鳴りつけた。 「見ての通りだ! アサシンが出撃した! 夜明けまでに戦う準備を整えろと全員に伝えろ! 急げ!」 タルブの村から少し離れた森の外れ……丁度森と大草原の境目に位置する古びた寺院を臨時の前線拠点としたアルビオン軍の幕僚達は、 日の出と共に行われるラ・ロシェール攻撃作戦について話し合っていた。 「……と、このような形で我らはラ・ロシェールに総攻撃をかける、なにか意見はあるかね?」 小さなランプの灯りの下、長方形のテーブル、祭壇を背にした上座に腰かけ、会議の進行を執り行っているのはラ・ロシェール攻撃部隊参謀、ウィリアム・フィールディング伯。 アルビオン軍総司令官であるジョージ・ヴィリアーズ公の副官でもある彼は、その補佐の為に先んじてこの前線拠点へと赴き、 幕僚を始めとした、各部隊を指揮する野戦指揮官達と会議を行っていたのであった。 「トリステインの対応がここまで早かったのは予想外であったが、この戦、何としても短期で決せねばならぬ、 この戦い、ヴィリアーズ総司令閣下が直接指揮をなさる、各員の奮闘に期待したい」 「ヴィリアーズ公は今どちらに?」 「地上司令部だ、たしか、タルブの村と言ったか。そろそろお見えになる頃だが……」 指揮官からの質問にウィリアム伯がそう答えた、その時……。 俄かに外が騒がしくなった。何事かと一人のメイジの士官が窓を開けると、 寺院の周囲を警備していた見張りの兵達がなにやら慌てて一か所に集まりつつあるのが見えた。 そこへ向かおうとしている一人の若い兵を呼び止め、士官は問うた。 「おい、どうした、なんの騒ぎだ?」 「はっ! 森の奥で小火が起きたようです! おそらく焚火の不始末かと」 兵士の答えに、士官がそちらを見ると、たしかに森の奥、暗がりの中から黒い煙がもくもくと上がっているのが見えた。 「たるみ過ぎだ馬鹿者! すぐに火を消し止めろ!」 「は、はっ! も、申し訳ありません!」 「まったく……」 兵士をどやしつけ、眉根を顰めながら席に戻る。 「何か起こったのかね?」 「いえ、ただの小火騒ぎの様です。すぐに消し止められるでしょう」 士官が再び席についた時、今度は寺院の扉が、ドンドンドン! と強く叩かれた。 「誰だ、今は軍議中だぞ」ウィリアム伯が問うた、次の瞬間、会議場の中に連絡士官が飛び込んできた。 「でっ、伝令! ち、地上司令部が陥落! サー・ジョージ・ヴィリアーズ総司令閣下が戦死なされました!」 「戦死? 陥落だと!」 ラ・ロシェール攻撃を前に届いたその衝撃的な報せに、会議場が騒然となる。 ウィリアム伯は、信じられないと言った様子で立ち上がった。 「馬鹿な! 一体何があったのだ! トリステインはまだ部隊を隠していたのか?」 「サー。そ、それが……、司令部を陥落させたのは『アサシン』であります! 『アサシン』が地上司令部を強襲! 我が軍が捕虜としていたトリステイン兵を解放し扇動、蜂起を起こさせた模様です!」 「あ……アサシン……だと! まさか……奴か!」 ウィリアム伯は、目を丸くし、呆然と立ちつくした。顔を蒼白にし、握っていた杖を思わず取り落とす。 集まった幕僚たちは愕然とした面持ちで顔を見合わせた。 「アサシン……! 奴が……この戦場に?」 「ど、どうするのですか? サー! 総司令官が討たれたとあっては、兵達の……いや、それどころか、全軍団の士気と統制にすら関わりますぞ!」 会議場の指揮官たちは立ちつくすウィリアム伯に向け直立した。総司令官が討たれた今、代わって指揮を取るべき人物は彼以外にはいない。 「と、とにかく、ご命令を! 総司令閣下!」 「閣下!」 その声で我に返ったウィリアム伯は、はっとした表情で顔を上げた。 そうだ、とにかく今は、この混乱を治めなければ。総司令官を失い、統制と士気を失った軍団に未来はない、 もし今トリステインに攻め込まれれば、あっという間に地上部隊は壊走してしまうだろう。 いや、それどころか、アルビオン艦隊含む全ての部隊に多大な影響を及ぼすかもしれない。それだけはなんとしても避けなければならなかった。 ウィリアム伯は伝令に向け発令した。 「ぜ、全部隊長に伝達! 戦死したヴィリアーズ総司令閣下に代わり、私が指揮を取る! 部隊の混乱を治めるのだ!」 「はっ!」 命を受けた伝令は、一礼すると、会議場の外へとすっ飛んでゆく。 それを見送ったウィリアム伯はどかっと椅子に腰を下ろすと、頭を抱え、うめき声を上げた。 予想どころか想像すらしていなかった、アサシンの襲撃という最悪の事態。 今、アルビオンで最も恐れられるアサシンが、よりにもよってこのタイミングで現れ、総司令官を暗殺してゆく。最早悪夢以外の何物でもなかった。 「ああ……なんということだ……。アサシンッ……! あの悪魔め……!」 やり場のない怒りに、唇をきつく噛みしめテーブルを殴りつける。 「どうか冷静に、ここで取り乱しては、奴の思う壺です!」 「ともかく、今はラ・ロシェールを陥落させる事が先決かと、今はアサシンを相手取っている余裕はありませぬ」 「ご安心を! アサシンなど、トリステインもろとも虫けらの如く捻りつぶしてやりますとも!」 幕僚たちは勇ましい声を上げ、椅子から立ち上がる。 その声に、ウィリアム伯が俯いていた顔を上げた、その時……。 「悪いがそうはいかない」 突然聞こえてきたその冷たい声に、何事かと幕僚たちが辺りを見回す。 その瞬間、会議場中央に置かれたテーブルの上に、白のローブに身を包んだフードの男が、どすん! という音と共に着地する。 突然の闖入者に唖然とする幕僚たちの目の前で、その男は目の前にいたウィリアム伯の胸倉を掴むと、ぐいと手元に引き寄せた。 「さらばだ、『総司令閣下』」 顔を鼻先に突きつけ、呟くや否や、左手首から飛び出した短剣を振い、ウィリアム伯の首を深々と貫いた。 ウィリアム伯の身体が椅子から床に崩れ落ちる。就任したての新たなアルビオン軍総司令官、彼の死は不意に、そして速やかに訪れた。 突然の出来事に、一瞬、会議場が静まり返る。周囲にいた幕僚たちも、瞬時には何が起こったのか理解しかねていた。 フードの男が、テーブルの上で立ち上がり、ゆっくりと幕僚たちの方を振り返る。 はらりと、肩に掛かっていたマントが垂れ下がる。そのマントに刺繍された紋章をみた士官が、我に返って叫ぶ。 「アサシン!」 そう叫んだ彼の眉間に、深々と一本のボルトが突き刺さる。そして彼が床に横たわるよりも早く、アサシンが動いた。 いつの間にか手に持っていたクロスボウを投げ捨て、すぐ近くにいたメイジの騎士に襲いかかる。 馬乗りになる形で押し倒し、メイジの首にアサシンブレードを突き立てる。鋭い刃が頸椎を断ち、あっという間に死に至らしめる。 「お、おのれ!」 士官の一人が杖を引き抜き呪文を詠唱する、杖の先から巨大な火球が飛び出し、アサシンを焼き尽くす……筈だった。 だが、その瞬間はいつまでたっても訪れない、それどころかその士官の額には一本の小ぶりな短剣が突き立っており、そこから一筋の血が流れ落ちてゆく。 「……ぁ」 どうっ、と士官がその場に崩れ落ちる。士官が杖を振り切るよりも早く、アサシンの手から放たれた小さな投げナイフが寸分たがわず彼の額を撃ち抜いたのであった。 最後に残された将校が杖を引き抜く、だがアサシンが再び投げナイフを放ち、彼の手から杖を叩き落した。 「ひっ……! ひいッ!」 杖を失った将校は、情けない悲鳴を上げながら祭壇へと逃げてゆく。 そしてその祭壇に祀られていた一振りの短刀を手に取ると、鞘から引き抜きアサシンに突きつけた。 「こ、この悪魔め! くっ、来るな! 来ないでくれ!」 「悪あがきはよせ、観念するんだな」 「う、うわああああっ!」 恐怖に駆られた将校は、悲鳴に似た叫び声を上げながら、アサシンに斬りかかった。 死に物狂いで振り回しているだけに攻撃の軌道が読みにくい、振り下ろされた短刀が、アサシンの左前腕を叩く。 鈍い衝撃が走ったが、金属の手甲が腕を守ってくれた。無傷のアサシンに、将校は目を剥いている。 「お、お前はっ! お前は悪魔に守られているのか!?」 その姿にひるんだ瞬間を、エツィオは見逃さず、将校の手首を捻り上げ、握っていた短刀を奪い取る。 そのまま短刀を逆手に持ち、相手の首筋に刃を添える。首元で鈍い光を放つ短刀に、将校は怯えたようにアサシンを見つめた。 「や、やめろ……、やめてくれ! ど、どうしてこんなことをする!」 「それを問うか? お前達がここにいるからだ」 将校の問いにエツィオは小さく呟くと、相手の首筋に添えた短剣を横に滑らせた。 その短刀は驚くほどの切れ味で、ぱっくりと将校の喉笛を切り裂いた。 「汝らの死は必然なり――眠れ、安らかに」 喉笛を裂かれた将校は、かっと目を見開いたかと思うと、ほどなくその身体は弛緩して膝から床の上に崩れ落ちた。 瞬く間に全員の息の根を止めたエツィオは返り血を拭きとると、先ほど短刀が叩きつけられた左腕の腕甲をみて、思わず目を見張った。 見るとアルタイルの文献を元に、レオナルドが作り上げた特殊金属製の腕甲に傷が入っているではないか! 防具としての機能に問題はないものの、重装兵の斧の一撃にもビクともしなかった腕甲に傷が入ったのはエツィオにとって些かショックな事であった。 「俺の腕甲に傷を付けるなんて……」 エツィオは信じられないと言った様子で呟くと、先ほど殺した将校から奪い取った短刀を見つめた。 刀身が鏡のように磨かれた、とても美しい片刃の短刀である。人を切ったと言うのに脂が付いておらず、錆一つ浮いていない。 この寺院の祭壇に祀られていたところを見るに、この寺院に治められた聖遺物、あるいはそれに準ずるものなのだろうとエツィオは当たりを付けた。 「ほー、こりゃすげえ短刀だな」 「わかるのか?」 興味深げにそれを見ていたエツィオに、腰に下げたデルフリンガーが感嘆したように呟いた。 「まあ剣だからな、……しっかしこりゃあ、相当な業物だぜ。相棒ツイてるな、これ持ってっちまえよ」 「いいのかな……」 「いいんだよ、どうせここ置いてたって、アルビオンの連中が持ってっちまうぞ、連中にゃもったいないだろうが」 さすがに祀られていた物を勝手に拝借するのは気が引けるのか、エツィオは顔を渋める。 しかしデルフリンガーの言うことも尤もである。先ほどこの寺院を占拠していた士官達は全員がメイジだったからこそ、この短刀に興味を示さなかったのだろう。 エツィオは祭壇に向き直ると、何となく厳粛な気分になったのか胸の前で十字を切った。 「しばらくの間、お預かりいたします、願わくば我が力とならんことを」 エツィオが呟き、落ちていた鞘を拾い上げた、その時であった。 異変を察知し駆け付けたアルビオン兵が、寺院の扉を開け、中に踏み込んできた。 「閣下! なっ……! あ、ああ……!」 中に踏み込んだアルビオン兵は、寺院の中に転がる幕僚達の死体を見て言葉を失った。 いずれもが名のあるメイジの貴族である彼らが、皆一様にして首を裂かれ、或いは急所を貫かれ絶命してしまっている。 その中にはアルビオン軍総司令官に就任したばかりの、ウィリアム伯の姿まであるではないか。 その地獄の様な惨状に唖然としていたアルビオン兵であったが、祭壇の前に血の滴る短刀を握り締めた一人の男が立っていることに気がついた。 瞬間、アルビオン兵は恐怖でたちまち凍りついた。赤黒いマントに白のローブ、間違いない、この男は! 「あ、アサシン! だ、だだ、誰か来てくれ! アサシンだ! アサシンが出たぞ!」 我に返ったアルビオン兵は悲鳴を上げながら、ほうほうの体で逃げ出した。その絶叫に、にわかに外の様子が騒がしくなった。 見ると騒ぎを聞きつけた敵兵達が寺院に殺到より先に、エツィオは驚くほどの俊敏さで壁を駆けあがり、天井の梁へと飛び移る。 そのまま梁の上を伝い、侵入経路であった換気用の窓から外へと出ると、屋根の淵に手をかけ、寺院の屋根の上へよじ登る。 彼がその上から身を躍らせた時には、あまりの早業に、敵の兵達はぽかんと口をあけていた。 風を受けてマントが翻るなか、アサシンブレードを発動させたエツィオは馬に乗っていたアルビオンの軍曹に飛びかかって鋭い刃で切りつける。 エツィオは敵を落馬させてそのまま馬を乗っ取ると、他の兵が反撃に出るより前に森へ向け全速力で走り出した。 一度も振り返らず、拠点である村を目指すことだけを考えて、さらに速く馬を駆り立てていった。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
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GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE DJENTCORE The Rebellion of Sequencer DJ Myosuke 300 1628 n%(yyyy/mm/dd) 攻略・コメント 右鏡がいい -- 名無しさん (2019-07-08 19 25 26) 難は終始ジリ貧になりがちだけどノマゲとそこまで難易度変わらないと思う。OPはラストの押しやすさだけ考えるとよし -- 名無しさん (2020-01-18 08 24 24) BPM300で降ってはいけないようなプチ発狂が何度かくるので、ハードはいかに他で減らさないでいくかという感じ。特にバスドラの軸はメロのリズムの参考にもなるのでずれないようにしたい。乱は発狂が更に発狂になり他の平和なところも押しにくくなるので挑戦段階は非推奨 -- 名無しさん (2021-06-10 23 30 22) 両鏡が結構押しやすい。ただ序盤は右7軸になるのでちょっと辛いかも。中盤にある繰り返し階段は癖付きやすいので注意。 -- 名無しさん (2021-09-15 03 59 49) 名前 コメント
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前ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 10/28/1943 Philadelphia 実験目的:異世界『ハルケギニア』への接続、転移実験。 実験、及び作戦概要: 駆逐艦『エルドリッジ』及びその乗組員を被験体とし、かねてよりその存在が確認されていた、異世界『ハルケギニア』への接続、転移実験を行う。 近年多発する、人員及び兵器消失事件の解明、及び異世界『ハルケギニア』の調査。 実験結果:失敗 被験体である乗組員のうち、行方不明、死亡者16名、発狂者6名。 詳細は以下に記す。 実験開始後、『エルドリッジ』は、フィラデルフィアから忽然と姿を消し、2,500km離れたノーフォークへと姿を現した。 この時点で失敗と思われていたものの、ノーフォークへと現れた『エルドリッジ』は再び姿を消し、『三時間後』、発光現象と共に再びフィラデルフィアに現れた。 本部からの通信に対し、『エルドリッジ』からの応答が確認されなかったため、船内に調査隊を送り込む。 内部は、地獄の様な惨状であり、死亡した乗組員の中には、鋭い刃物のようなもので切り裂かれた者や、炭化した者、果ては冷凍化した者までもが確認された。 機械室にて、生存者である六名を保護したものの、彼らはみな精神に異常をきたしており、重要な証言は得ることがほとんど出来なかった。 だが、共通の証言として、生存者から『転移後、急に(犠牲者の)身体が炎上したり、冷凍化したりした』『転移後に殺し合いが始まった』……等の証言を得ることが出来た。 以上の結果により、秘宝には異空間転移能力自体は認められたものの、 重大な事故を引き起こす危険性を本件に鑑み、空間転移実験は、執行部の指示に従い無期限の凍結とする。 前ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
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前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 西暦2012年 地球――某国 アサシンの隠れ家 「デズモンド、起きて」 「んっ……」 デッキチェアーに横になっていた男性が閉じていた瞼を開ける。 ぼやけていた視界が次第にはっきりと見えてくる、目の前には自分を起こしてくれた金髪の女性が立っていた。 その横で、パソコンのディスプレイを見つめていた女性がうれしそうに声を上げた。 「おどろいたわ! トリステイン? 魔法使い達の学校だなんて、まるでファンタジーの世界じゃない!」 「デズモンド、君のご先祖はずいぶんと波乱の人生を送ってきたようだな」 眼鏡をかけた男性が、椅子から立ち上がり、こちらへ近づいてきた。 「ショーン、茶化さないで、レベッカも」 「なぁ、ルーシー、どうすればいい? このままエツィオと同調を続けるのか? まるでこれじゃ、ジャパンのアニメじゃないか、なんだか訳がわからなくなってきたぞ?」 デズモンド、と呼ばれた男性が小さく頭を振りながら金髪の女性に尋ねる。 もはやわけがわからない。いつも通り『アニムス』を使い、先祖であるエツィオと同調していたら、いつの間にかファンタジーで異世界である。 ルーシーと呼ばれた女性がデズモンドの肩に手を置いた。 「だから起こしたの、この頃のエツィオと同調するのは危険よ……アルタイルの時を覚えてる? エデンの果実に近いほどあなたの身体が拒否反応を起こすことを」 「あぁ、確か同調率がどうとか言ってたな」 「そうよ、この記憶を辿るにはあなたはエツィオと同調しきっていないの」 「同調しきっていないって……今まで順調だったぞ? この先どうするんだ?」 「……あのルイズって女の子とのキスを覚えてる? あの子は契約って言ってたけど」 「あぁあれか、子供は趣味じゃないが、久しぶりに胸がグッときたよ、これがジャパンのMOEって奴なのかな?」 「……それは置いておいて、あのあとエツィオに刻まれたルーン、あれが問題なのよ」 ルーシーはレベッカと呼ばれた女性の横に立つと、パソコンのディスプレイをデズモンドに見せた。 「あのルーンが刻まれてから、エツィオの身体能力が全盛期のそれを大きく上回ったの、この数値は異常よ」 「……といっても、この画面をみても俺にはピンとこないんだけどな」 デズモンドは肩を竦める。ルーシーは一つ小さくため息をつくと説明を始めた。 「元々エツィオは『最強のアサシン』よ、その身体能力は計り知れないわ、 だからあなたの身体を馴らしていくために、誕生の瞬間からエツィオと同調させてきたの、流入現象をスムーズに利用するためにもね」 「なるほど、だから赤ん坊から、それで? なにが問題なんだ?」 「エツィオがいきなり全盛期以上の身体能力を得てしまうとなると、あなたも精神崩壊は免れないわよ」 「16号のようにか」 「それだけじゃないぞ、デズモンド」 ショーンと呼ばれた男が、やれやれといった風に肩を竦める。 「15世紀のイタリアなら、情報提供ができるが……相手が異世界じゃな……さすがの僕もお手上げだ」 「それじゃ、この先どうするんだ? 今ギーシュってガキとやりあってる途中なんだが……」 「そこは大丈夫よ、エツィオは二年後に再びロレンツォの前に姿を現しているの、おそらく無事に帰還できたんだわ、 今回は時間もないし……そこから同調を再開させるわね、残念ながらこの世界のことは後回しよ」 「堅いことを言うなよ、と言いたいところだけど、僕らにはあまり時間も余裕も残されていないのが現実だ」 残念そうにショーンが呟く、デズモンドが小さく笑いながらアニムスに腰かけた。 「異世界旅行か……アニムスにはあまりお世話にはなりたくないが、テンプル騎士団との戦いが終わってからなら、この頃のエツィオと同調するのも悪くはないかもな」 「その時はぜひ、その世界に行ける方法を見つけ出してくれよ、デズモンド」 「あぁ、是非とも見つけたいものだな」 二人の様子を見て、ルーシーが呆れたように呟いた。 「男の人ってどうしてこうかしらね? レベッカ」 「さぁ? ロマンってやつじゃない? まぁ、わからなくもないけどね、それじゃデズモンド、横になって、始めるわよ」 「わかった、……エツィオには悪いが、俺たちは一足先にフィレンツェ……地球に帰らせてもらうか」 デズモンドが再びアニムスに横になる。 パソコンのデスクトップを見つめ、ルーシーが小さく呟いた。 「差し詰め、ここの記憶はLost sequence(――失われた場面)ってところかしらね」 同調を開始し、アニムスの世界に立ったデズモンドが呟く。 「あのルイズって女の子……似たような奴がどっかにいたような気がするんだよな……」 「そう? そんな子いたかしら?」 やがて一人の人物が該当したのか、デズモンドが両手を打つ。 「……あぁそうだ思い出した! エルサレムの管区長! マリクだ!」 「あぁ、彼、最後辺りとかすごかったわね、彼女もいつかあんな風になるのかしら?」 「ははっ、それは見ものだな」 想像したのかデズモンドが笑みを漏らす。 やがて急速に意識がアニムスに呑みこまれるのを感じた。 デズモンドの前に15世紀のイタリア、フィレンツェの街並みが再現されていく。 アニムスの機械的なアナウンスが聞こえてきた。 ――記憶を早送りし、次の場面に移ります―― 「驚いたな……」 思わず感嘆の呟きを洩らす。まるで粘土の塊を貫いたような感触。 エツィオが突き立てたアサシンブレードはゴーレムの首関節を捉え、深々と貫いていた。 青銅製のゴーレムを貫いてなお、アサシンブレードは折れることなく貫通し、地面にまで突き刺さっていた。 アサシンブレードを引き抜き、収納する、同時にルーンの輝きが消える。 周囲の人間の目にはエツィオがただ、ゴーレムを押し倒しただけと映っているだろう。 「ッ!?」 首を貫かれながらも動き出したゴーレムに、エツィオはあわててその場から飛び退く。 忘れていた、相手は『魔法』で動いているのだ、アサシンブレードでの一撃では致命傷足り得ない。 せめて剣があればよいのだが、フィレンツェでの逃走劇で失ってしまっている。 小さく舌打ちし策を練る、人間相手なら先ほどの一撃で即死させる事が出来るが、魔法で動くゴーレムには微々たるダメージを与えるだけのようだ。 「押し倒すだけかい? それでは僕のゴーレムは壊せないよ?」 ギーシュは余裕の笑みを浮かべている。 ゴーレムは立ち上がると、再びエツィオに向かい突進してきた。 「これは失礼、レディをいきなり押し倒すなんて紳士のすることじゃないな」 軽口を叩きながらエツィオが迎え撃つ。一撃で仕留めることこそ出来ないが、通じないわけではない。 放たれた右ストレートを払いのけ、今度はこめかみにアサシンブレードを叩きこむ。 ぐらりと体勢を崩したゴーレムの身体に、エツィオは次々アサシンブレードを繰り出した。 青銅のゴーレムを貫いているとは思えないほど柔らかい感触が伝わってくる。 目にもとまらぬアサシンブレードの刺突がゴーレムの身体を貫いていく。 最後の仕上げと、ゴーレムの首に両手を当て、二本のブレードを交差させ掻っ切った。 元々刺突用として造られているアサシンブレードが、まるで粘土のように青銅のゴーレムを切り裂いた。 べろん、と切断された首がだらしなく垂れ下がり、ふらふらと倒れこむ。 どしゃり、と音を立て青銅のゴーレムが地に付した。 「な……な……」 「……まったく、なんてタフなご婦人だ」 エツィオは手のひらを叩きながら、苦笑する。 ギーシュは目の前で起こったことが信じられないといった様子でうめき声を上げた。 彼が何をしたのか、早すぎて何もわからなかった。 見ればゴーレムにはなにかで刺突された痕が無数に残っている。 首元に残る、鋭利な刃物で切り裂かれたような痕が痛々しい。 「なっ! なにをしたんだ!」 「さあ? なんだろうな」 エツィオが悠然とギーシュに向かい歩を進めていく。 マントに隠れた左手から鈍く光る短剣が覗いている。 おそらくはあれでゴーレムを滅多刺しにしたのだろう。 ギーシュの顔がみるみる青くなっていく、これ以上接近を許したら、自分もゴーレムと同じ目に遭ってしまう! ギーシュは慌てて薔薇を振った。花びらが舞い、新たなゴーレムが六体現れる。 そのゴーレムの手にはそれぞれ槍や、剣、斧などの武器が握られていた。 丁度いい、アサシンブレードでチマチマ刺すより、効率がいい方法をわざわざ相手が用意してくれた。 エツィオがフードの中で薄く笑う。 「そうだな、決闘には武器を使うものだ」 エツィオは優雅に一礼し、ゴーレムの群れに向かい手を差し伸べる。 「それでは、お集まりのご婦人がた、わたくしと踊っていただけますか?」 「いっ! 行け! ワルキューレ!」 挑発を受けたゴーレムがエツィオを取り囲み、一斉に襲いかかった。 そして一気に揉みつぶす……かに見えた瞬間、包囲網を突き破り、二体のゴーレムとエツィオが飛び出した。 右手と左手、それぞれゴーレムの眉間にアサシンブレードを突き立てそのまま前方に押し倒す。 倒した衝撃でゴーレムが持っていた斧と槍が宙を舞う。 エツィオは落ちてきた槍をつかみ取ると、倒れているゴーレムに突き立て、地面に縫い付けて動きを封じた。 「ちょっと借りるぞ」 誰に言うわけでもなく呟いたエツィオは、地面に突き立った両手斧に手をかける。 ルーンが光り出し、体が軽くなる。ありがたいことに、どうやら全ての武器に対してこの効果は有効なようだ。 本来ならば片手で扱うようなものではないが、エツィオは右手で軽々と両手斧を振い、倒れているもう一体のゴーレムを両断する。 金属がひしゃげる音とともに、ゴーレムの胴体が真っ二つに切断された。 「おい! 本当に青銅製なのか?」 斧を肩に担ぎながらエツィオが小馬鹿にした様子でギーシュに話しかける。 そのまま斧を振い、彼に襲いかかろうと間合いに入り込んだゴーレムの胴体を豪快に切断した。 続けざまに残ったゴーレム達を屠って行く。そのあまりに異様な光景にギーシュは咄嗟に残りの一体を自分の盾に置いた。 次の瞬間、そのゴーレムの頭にエツィオが放り投げた斧の刃がざっくりと突き刺さり豪快な音を立てて倒れこむ。 「ひぃっ!?」 あっという間に全てのゴーレムを平らげたエツィオは、腰を抜かしたギーシュに向かい歩いて行く。 ギーシュは、まるで死神を見ているかのような表情で歩み寄るエツィオを見上げた。 フードの中身は影になっており、笑っているのか、はたまた無表情なのか、彼の表情をのぞき見ることはできなかった。 彼が小さく両腕を広げる、開かれた両手から二本のブレードが勢いよく飛び出した。 鈍く光るそれは、まるで死神が振う剣を連想させる。 「あ……ぁ……」 「ギーシュ・ド・グラモン、お前には、我が家名を侮辱した償いを受けてもらう」 迫りくる恐怖にもはや声すらも出ない、そんな彼に追い打ちをかけるようにエツィオが口を開いた。 「汝、怖れより解き放たれよ。眠れ、安らかに――」 言葉が終わるや否や、エツィオはギーシュに猛禽のごとく飛びかかる。 大鷲が獲物を捕らえるように、エツィオは左手をギーシュの首に向け突き出す。ブレードがみるみる迫ってくる。 やられる! 思いっきり目をつむった。 広場に悲鳴が響き渡る。地面に強く押し倒され、首を掴まれる感覚、 あぁ自分は殺されたんだな……。死ぬ時は一瞬か、痛くもなんともないや……。そう思った。 「っ……! あ……あ……あれ?」 しかしいつまで経っても意識ははっきりしているし、広場の喧騒も聞こえる、 第一痛くも痒くもない。あるのは首根っこを掴まれている感覚だけである。 ギーシュが間抜けな声を出しながら恐る恐る目を開ける。 目の前にはフードを被った男が自分の首を掴み、してやったりといった表情で笑っている。 「なんてな、冗談だ」 エツィオはギーシュの首から手を離すと、ぽんと、肩に手を置いた。 ギーシュは何度も首に手を添え、血が流れてないか確かめる。しかしいくら撫でてみても血なんてどこにも付いていないし。 ましてや傷も付いていなかった。 「まだ続けるか?」 ギーシュは首を横に振る、杖は取られていない、しかし完全に戦意が喪失していた。 「ま、参った……僕の負けだ」 それを聞いたエツィオはニヤリと口元を歪めると、ギーシュの肩をたたき立ち上がった。 広場が歓声にどっと湧きあがった。 あの平民、やるじゃないか! とかギーシュが負けたぞ! とか、エツィオ様! 素敵! とか見物していた連中からの歓声が聞こえてきた。 その歓声に軽く手を振って応えながらエツィオは歩き出した。 そしてすぐに自分の左手を見つめる。そこにはルイズとの契約時に刻まれたルーンがあった。 もう一度アサシンブレードを引き出すと、再びルーンが淡く光り出し、体が羽のように軽くなった。 それだけではない、アサシンブレードの殺傷力が増し、両手で扱うはずの大斧がまるで木の枝のように軽く感じたのだ。 一体これは何なのだろうか、どうやら武器を使う時にだけ効果があるようだが……。 まぁなんにせよ、後でルイズに聞いてみるか。そう考えていると、ルイズが駆け寄ってくるのが見えた。 「やあルイズ」 「エツィオ!」 まるで散歩から帰ってきたかのように右手を上げ、いつもの軽い口調で話しかける そんなエツィオとは裏腹に、ルイズは目じりに涙をため軽くパニック状態に陥っていた。 「あんた! だっ、大丈夫なの! ち、血が出てる!」 「なに、ただのかすり傷さ」 「でっ、でもっ……!」 エツィオは口元についた傷に手を添える、まだじくじくと痛いがすでに血は止まっている。 騒ぐほどではない傷を、涙目になりながら心配してくるルイズを見て、エツィオはついついからかいたくなってしまう。 「おや? 心配してくれてるのか? これはうれしいな!」 エツィオがルイズを両手で抱きよせる。 エツィオに抱き締められる形になったルイズは顔を真っ赤にしながら、エツィオの股間を蹴り飛ばした 「ぐぁっ!? ……ル……ルイズ……な、なにを……」 「こここっ、こっちのセリフよこのバカ使い魔! ごごご、ご主人様にい、い、いきなり、だ、だ抱きつくなんて! な、なんてことをっ!」 「だ、だからって……この仕打ちは……」 股間を押え、悶絶しながら地面に倒れ伏したエツィオをガシガシと蹴りつけながらルイズは怒鳴りつける。 「もうっ! 折角人が心配してやってるってのに! このぉ!」 「あだっ! 心配してくれるならこれ以上は勘弁してくれ! あいつのゴーレムよりおっかないな君は!」 「うっ! うるさい! もう知らない! このバカ!」 ボロボロになったエツィオが立ち上がりローブについた埃を叩き落していると、ようやく立ち上がったギーシュが近づいてきた。 「ミスタ!」 「ん? 君は……まだなにかあるのか?」 ギーシュはエツィオの前に立つと、深々と頭を下げた。 「ミスタ・アウディトーレ、家名を侮辱するという貴族にあるまじき行為、どうか許してほしい」 エツィオは頭を下げているギーシュに近寄ると、ぽん、と、肩に手を置いた。 「顔をあげてくれ、もう済んだことさ」 「しかしっ!」 「それに、俺も少々大人げなかった所もあるしな、悪かった」 「あ、ありがとう、ミスタ」 「エツィオでいいよ。モテる男ってのは、つらいよな、ギーシュ」 軽くウィンクしながらエツィオが右手を差し出す、ギーシュもそれに応えた。 「エツィオ、君は一体何者なんだ? この僕のワルキューレを倒すなんて」 「なに、別にたいしたものじゃない、全ては訓練の賜物さ」 「訓練って……、しかし、魔法が使えないのに僕のゴーレムを倒すなんて今でも信じられないよ」 「ふんだ、あんたが弱かっただけじゃないの?」 横からルイズが茶々を入れる、するとエツィオが首を振った。 「とんでもない、ギーシュ、君は俺が今まで戦ってきた敵の中でもっとも強かった、断言してもいい。今回は運が良かっただけだな」 「そ、そう言ってもらえるとうれしいな、それでもまるで歯が立たなかったけどね……」 エツィオは肩をすくめながら正直な気持ちを伝える、命のないゴーレムは一撃で仕留めることを旨とする彼にとって最悪の相手だった。 今回は成り行き上決闘と言う形になってしまったが、メイジと戦う際は真正面から戦うべきではないと改めて認識した。 オスマン氏とコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。 「あの青年……勝ってしまいましたが……」 「うむ」 「ギーシュは一番レベルの低い『ドット』メイジですが、それでも平民に後れをとるとは思えません。 そしてあの動き! あんな平民見たことがない! やはり彼は『ガンダールヴ』!」 「じゃろうな……あの動き、彼と同等……否、それ以上か……」 「オールド・オスマン。さっそく王室に報告して、指示を仰がないことには……」 「ミスタ・コルベール」 興奮して泡を飛ばすコルベールを諌めるように、オスマン氏が口を開く。 「彼はただの平民ではないよ」 「はい? ……と、いいますと、どういう……」 その言葉に疑問を浮かべながらコルベールがオスマン氏に尋ねる。 オスマン氏は、杖を振り、『遠見の鏡』にもう一度ヴェストリ広場の光景を映し出させる。 『遠見の鏡』は、決闘時にエツィオによって最初に破壊されたゴーレムを映し出した。 「これは……彼に破壊されたゴーレムですね、これが何か?」 「『炎蛇』よ、よく見たまえ、何か気がつくことはあるかね?」 「……えぇ、全身に刺突された痕……最後に首を裂かれて……。こっ、これはっ!」 倒れたゴーレムを見ていたコルベールの顔がみるみる青くなる。 「うむ、人体の急所を寸分違わず貫いておる、心臓、肝臓、膵臓、頸椎、腋、こめかみ、眼球、喉。 ……君はこの全ての急所に刃を突き立てられて、立っていられるかね?」 「……御冗談を、これがゴーレムでなければ最初の一撃で即死です」 「こんなエグい戦い方をする人間を、私は一人しか知らん」 オスマン氏は、そこでいったん言葉を切ると、机の上に置かれた一枚のスケッチを手に取る。 それは先ほどコルベールが書いた、エツィオが身に着けている紋章だった。 オスマン氏は昔を懐かしむような目で紋章のスケッチを見つめ、言った。 「間違いあるまい、彼は『アサシン』じゃ」 「『アサシン』っ……! そんな……!」 『アサシン』、『暗殺者』、その言葉に、コルベールは思わず言葉を失う。 オスマン氏はそんな彼を窘めるかのように声をかけた。 「ミスタ・コルベール、彼の名誉のために言っておくが、私の言う『アサシン』とは決して殺人狂ではない、断言しよう」 「ど、どうしてそんなことが言えるのです! よりにもよって『アサシン』とは! 彼は暗殺者ですぞ!」 「落着きなさい、ならばどうして彼はギーシュを殺さなかったのかね? それに、先も言ったが、彼は君の認識するような『暗殺者』ではない」 オスマン氏はそう断言すると、手に持っていたスケッチの紋章を見せる。 「『罪なき者を殺めるなかれ』、彼らの掟じゃ」 「掟? 掟とは一体……」 身を乗り出し質問するコルベールを無視し、オスマン氏は再び杖を振る、 ワルキューレを映していた遠見の鏡はエツィオを映し出した。 「ほほっ! これはまた、彼にそっくりじゃのう」 オスマン氏は昔を懐かしむように目を細めると、椅子に深く腰掛けもたれかかる。 なんのことかわからないコルベールは、釈然としない様子でオスマン氏の言葉を待った。 「オールド・オスマン、それで、王室に報告するという件はいかがいたしましょう。私としては、やはり指示を仰いだほうが……」 「それには及ばん」 オスマン氏は重々しく頷いた。白い髭が、厳しく揺れる。 「どうしてですか? これは世紀の大発見ですよ! 現代に蘇った『ガンダールヴ』!」 「ミスタ・コルベール。『ガンダールヴ』はただの使い魔ではない」 「はい、その通りです。始祖ブリミルの用いた『ガンダールヴ』は主人の呪文詠唱の時間を守る為に特化した存在と伝え聞きます」 「そうじゃ、始祖ブリミルは呪文の詠唱にえらく時間がかかったそうじゃな、知っての通り詠唱中のメイジは無力じゃ その間、己の身体を守る為に始祖ブリミルが用いた使い魔が『ガンダールヴ』じゃ、その強さは……」 その後を興奮した様子のコルベールが引き取った。 「千人の軍隊をたった一人で壊滅させるほどの力を持ち、あまつさえ並のメイジではまったく歯がたたなかったとか!」 「それじゃよ、そのただの使い魔ではない『ガンダールヴ』が『アサシン』であることが問題なのじゃ。 王室のボンクラどもに『ガンダールヴ』である『アサシン』と、その主人を渡すわけにもいくまい。 そんなオモチャを与えてしまえば、彼らは喜んで彼を使いあらゆる政敵を暗殺するじゃろうな。 無論、その前に彼の刃が宮廷のボンクラ共の首を切り裂く可能性も十分ある……彼、アルタイルがそうだったように」 「彼……? アルタイルとは?」 「なに、私の古き友人じゃよ、彼もまた『アサシン』であった。もっとも彼は煙のように消えてしまったがね。 ともかくじゃ、この件はわしが預かる。他言は無用じゃ、ミスタ・コルベール」 「は、はい! かしこまりました!」 オスマン氏は、コルベールを下がらせると、重厚な机の引き出しを、首に下がった鍵を使って開けた。 その引き出しの中を見つめながら、遠い記憶の彼方へ、思いを馳せ、呟く。 「世が乱れし時、若き大鷲が現れる……。師よ……貴方はこれを予見していたというのですか……?」 オスマン氏は、まるで祈りを捧げるように、左手を胸に当てると、薬指を曲げ、眼を瞑った。 「ならば、私はそれに従いましょう、全ては大導師の仰せのままに……」 決闘騒ぎも収まり、次の授業が始まるとのことで、ヴェストリの広場に集まった生徒達が退散していく。 その中で、女好き同士お互いなにか通じるものがあったのか、エツィオとギーシュが歩きながら談笑に興じていた。 その様子は、先ほどまで決闘していた者同士とは思えないほど親しげだ。 「おっと、そうだギーシュ、これ、返しておくよ」 「こっ、これは……」 ギーシュに、エツィオが何かを放り投げる。 それは決闘の引き金になった香水の小壜だった。 エツィオがギーシュと肩を組み誰にも聞こえぬようにひそひそと話しかける。 「俺がそれを開けた時、動揺してたところを見ると、お前の本命はモンモランシーって子だ、違うか?」 少し顔が赤くなっていたギーシュはやれやれと言った表情で肩をすくめた。 「まったく……君には敵わないな……」 「その様子をみると当たりか、それで? どこまでいってたんだ? もちろん抱いたんだろ?」 「なっ! き! 君! そ、そんな野暮な事を聞くものじゃないだろ!」 突然顔を真っ赤にしてギーシュが叫び出す。 横にいたルイズが怪訝な表情をして二人を覗き込む。 「ちょっと、何の話よ」 「なんでもないさ、男同士の話だよ」 エツィオはルイズを押しやると、再びガシリとギーシュと肩を組む。 「で? どうなんだ?」 「あぁ……それは……その……なんと言うか……」 「おい……まさかとは思うが……」 「な、ななな、なんだね?」 「お前、その様子だとまだその子のこと抱いてすらいないな?」 あからさまに動揺を始めたギーシュに、エツィオは呆れたように大きくため息を吐く。 「お前……それで自分のこと薔薇だとかどうとか抜かしてたのかよ……その様子じゃ大した経験もないな?」 「きっ! 君はどうなんだ! そんなに言うからにはもちろんあんなことやこんなこと!」 「当然だろ、お前と同じ頃には何人食ったかすら覚えてないよ。人妻もいたかな? そりゃ大変だったぜ? もう裁判沙汰まで行ったこともあるくらいさ」 「き……君ってやつは……!」 「ねぇ! さっきから一体何を話してるのよ?」 「「武勇伝だ、ひっこんでくれ」」 「なっ! 何よもう!」 蚊帳の外に置かれてしまったルイズが怒鳴り散らすも、エツィオとギーシュはなおもひそひそと話を続けている。 すると突然、ギーシュが大声をあげて笑いだした。 「あっはははは! すごいな君は! どうやってその修羅場をくぐりぬけたんだ? 後学のために教えてくれよ!」 「そろそろ行くわよ!」 「なに、コツなんて必要ないさ、ただな……」 「ちょっと!」 「あっ、その手があったか! まったく、君には頭があがらないな!」 「聞いてるの!?」 「大げさだな、ちょっと考えればわかることじゃないか、っと、……なんだよ、これからが面白いところなのに」 後ろから肩を掴まれ、エツィオが振り向く、そこには今の今まで無視され続けたルイズが鬼の形相で立っていた。 「こ、こここ、この……馬鹿使い魔……! ご、ご主人様を無視し続けるなんて、い、いい度胸してるじゃないの……!」 「なんだ、かまってほしいのか? 案外寂しがり屋なんだな君は、心配しなくても、あとでたくさん相手してあげるさ」 エツィオは笑いながら、ルイズの頭にぽんと手を置いた。 ルイズはそれを振り払わずにエツィオの二の腕をガシリと掴む。 その細い指のどこにそんな力があるのか、エツィオの腕に食い込んで離さない。 「そ、そろそろ授業だな! それじゃエツィオ! また話を聞かせてくれたまえ!」 「あっ、おい!」 ただならぬ気配を感じたギーシュは苦笑いを浮かべそそくさとその場を後にする。 エツィオは肩をすくめて見送ると、ルイズに視線を戻した。 「だとさ、君も授業だろ? 行かなくていいの――うわっ!?」 いきなり飛んできたルイズの拳をかろうじて受けとめる。 「おいおい、そんなに寂しかったのか? だからって何も殴ること……!」 「うるっさい! この馬鹿! あんたはわたしの使い魔でしょ! ご主人様を無視するなっ!」 レディというよりは、まるで手のかかる妹だ、エツィオは苦笑いを浮かべながら、ルイズを窘めた。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
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GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE DJENTCORE The Rebellion of Sequencer DJ Myosuke 300 1054 72.9%(2019/10/15) 攻略・コメント 縦連に近い高速の刻みとそれに絡む交互押し、階段でひたすらゲージを削り、そしてラストは皿絡みの発狂で落としにかかってくる譜面。前半と後半で譜面傾向が違うのでラストだけで落とされるなら難、道中が難しいなら乱だろうか。CN+BSSは単発のみの飾りなので忘れていい。 -- 名無しさん (2018-11-11 20 31 38) 赤段位でもノマゲは事故ることがあるので要注意 -- 名無しさん (2020-02-11 21 48 35) 乱で超当たりや超ハズレがあるので当たり待ち。皿が面倒くさいので1軸と7軸が両方皿の逆サイドに移動するパターンが当たり(よって正規と鏡はハズレ)。2と6の位置も気になる。2も皿絡みで面倒くさいので出来れば皿の逆サイドに、そして6が折り返し階段の軸なので苦手じゃない位置がいい。 -- 名無しさん (2022-06-12 02 56 10) ラストの左右に振られながらの白鍵交互が見た目以上に追い付きづらい 大きく回復出来る箇所も無いが、よほど軸や階段でハマらないのなら断然難推奨 -- 名無しさん (2024-03-12 21 57 37) 名前 コメント
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前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 一方その頃……、造船所の離れに備え付けられた赤レンガの空軍発令所にて、共の者を下がらせたクロムウェルはとある貴族と談笑をしていた。 発令所の一室から『レキシントン』号の雄大な姿を眺めながら、これからの計画について話し合っている。 「……と、いうわけだ、きみには期待をしているよ、艦隊司令長官」 「ハッ! お任せ下さい閣下! このジョンストン、閣下の理想のため、微力を尽くさせていただきます!」 トリステイン侵攻軍総司令官に任命されたばかりのサー・ジョンストンは感激した面持ちを浮かべた。 貴族議会議員でもある彼は、クロムウェルの信任厚い人物である。 クロムウェルはそんな彼を見つめ、にっこりとほほ笑むと、肩を叩き、窓の外の『レキシントン』号を指さした。 「見たまえ、最新鋭の大砲を積んだ最大最強のフネだ。それを筆頭としたハルケギニア最強の空軍艦隊を指揮するのだ、まったく、余から見てもうらやましいことだな」 「わ、我が身にあまる光栄でございます閣下」 クロムウェルは満足そうな笑みを浮かべ、大きく頷く。 「議員、明日は演習だ、きみにも『レキシントン』号に乗り込んでもらいたい、戦場の空気に慣れてもらうためにもな」 「心得ております、いやはや、私ごときがあのような立派なフネに乗りこめるなど……光栄の極みですな」 「そう思ってしまうのも無理はない、実を言うと余もあのフネには圧倒されっぱなしなのだ」 クロムウェルとジョンストンは『レキシントン』号を眺めながら、満面の笑みを浮かべた。 その時だった。 整備を終え、造船所に停泊している『レキシントン』号の舷門の一つが突如として光を放った。 瞬間、ロサイス全体を揺るがす轟音と共に、耳をつんざくような爆発音が発令所全体に響き渡った。 「な! な! な! なぁ!?」 「な、何が起こった?! なにが!」 もはや発令所は大混乱である。 クロムウェルとジョンストン議員は天地がひっくり返ったかの如くパニックに陥り、何が何だか分からないと言った様子で窓の外を見つめる。 そうこうしているうちに、『レキシントン』号の舷門が轟音と共に次々火を噴いていった。 「なるほど、流石は新兵器、大した威力だな」 『レキシントン』号の砲列甲板、一枚の羊皮紙を広げながら、エツィオは呟いた。 足元には警備の為に艦内を警邏していた衛兵達が、皆一様に鋭利な刃物で首を切り裂かれ、或いは急所を貫かれた無残な死体となって転がっている。 ボーウッドを解放した後、まんまと『レキシントン』号の内部に潜入したエツィオは、警備の衛兵を皆殺しにした後、 新兵器の大砲の設計図を奪取し、全ての砲門に大砲を装填し、最初の一発をぶっ放したのであった。 そんなエツィオに腰に差したデルフリンガーがカチカチと音を立てて尋ねる。 「で、今のはどこ狙ったんだ?」 「製鉄所だ、さて次は……」 エツィオはいたずらを仕掛ける子供の様な笑みを浮かべると、あらかじめ狙いをつけていた次の大砲に火を入れる。 ぼこんっ! と船内に轟音が響く、同時に造船所をぐるりと囲んでいた立派な赤レンガの壁が豪快に吹き飛び、一瞬でがれきの山と化す。 最新鋭の大砲から発射された砲弾は、赤レンガの壁をぶち抜くだけにとどまらず、とある建物に突き刺さった。 同じく赤レンガでできたその建物は、豪快に消し飛び、中にいたであろう人間の怒号と悲鳴がきこえてきた。 「今のは?」 「衛兵駐屯地」 エツィオは淡々と答えながら次の大砲に火を入れる。すると今度は、隣の港に停泊する一隻の軍艦に突き刺さった。 どうやら火薬庫に着弾したのだろう、『レキシントン』には遠く及ばないが、それでも立派な造りの軍艦は盛大な炎を吹き上げると爆沈していった。 それをみたエツィオは、しめたとばかりに軍港方面に面した大砲に次々火を入れてゆく。 ぼこんっ! ぼこんっ! ぼこんっ! と腹の底に響くような大砲の炸裂音が連続で鳴り響く。 『レキシントン』号から放たれた砲弾は空中で散弾となり、雨あられと化しロサイスの軍港に降り注ぐ。 多くの戦列艦が停泊していた軍港は一瞬で炎上し、まさに地獄絵図と言っても過言ではない様相を呈していた。 「……すごい威力と射程だ……既存の大砲とは比べ物にならないな……」 あらかた大砲を打ち尽くしたエツィオは、そのあまりの威力に苦い表情で呟くと、手にした羊皮紙を見る。 どうかこれ一枚であってほしい……、エツィオはそう祈りながら、照明用の松明に羊皮紙を投げつける。 「すまないな、ミス・シェフィールド」 口元に皮肉な笑みを浮かべながら、エツィオが呟く。 炎はあっという間に燃え上がり、アルビオンが誇る最新兵器の設計図を灰へと変えた。 「おい! 貴様! そこでなにを――がっ……!」 「あ、お、おま――かっ……」 『レキシントン』号の異常に、おっとり刀で駆け付けた衛兵達が、エツィオのいる砲列甲板へと踏み込む。 その瞬間、二人の首に、深々と投げナイフが突き刺さる。 どさり、と二人の衛兵はまるで糸の切れた操り人形のように、甲板に横たわる死体の仲間入りを果たす。 「そろそろ頃合いだな」 エツィオは、衛兵達が集まりつつあることを悟ると、 階段を下り、『レキシントン』号の心臓部……、風石が満載された機関部へと降りて行った。 一方その頃、『レキシントン』号の甲板では、砲撃を免れ、なんとか生き残った衛兵達が、船内に突入すべく集ってきていた。 「生き残りはこれだけか?」 「はっ、現在戦闘可能な人員はこれだけであります、他は負傷者の搬送や消火作業で手がふさがっている状況です」 「くっ……なんということだ……、中で何が起こっている……!」 衛兵隊長が、甲板に集った衛兵達を見つめて、苦い顔で呟いた。その数は僅かに十数名。 駐屯地や詰所、それらを砲撃され、ロサイスに駐屯していた兵は、まさに全滅と言ってもよい程の被害をこうむっていた。 「くそっ! 総員突入準備! 侵入者を生かして帰すな!」 衛兵隊長が命令を告げた、その時だった。 甲板と船内を繋ぐ、唯一の入口である両開きの扉が、ぎぃっ……と、軋むような音を立てて開いた。 そこから現われた人物をみて、衛兵達は一瞬、言葉を失った。 開かれた扉から現われたのは、白のローブに身を包んだ、フードを目深に被った若い男だった。 左肩には、もとは鮮やかな紫色だったのだろう、血で赤黒く変色したアルビオン王家のマントを纏っている。 その男は、甲板に集まった衛兵たちなど、最初から眼中にないとばかりにゆっくりと歩を進めてゆく。 左右に分かれた衛兵達の間を悠然と歩いてゆくその姿は、まるでモーゼが別った紅海を進んでゆくようだ。 しばし呆然とその男を見つめていた衛兵達であったが、やがて我に返った一人の衛兵が叫んだ。 「アサシンだ!」 その言葉に他の者達もようやく我を取り戻したのであろう。 メイジであるものは杖を引き抜き、そうでないものは、槍や剣を構え、アサシンを取り囲んだ。 円を描くよう周囲を取り囲まれたアサシンは、やがてゆっくりと足をとめた。 「この騒ぎの首謀者は貴様か! アサシン! ただで済むと思うな!」 衛兵隊長が杖を突きつけながら、アサシンを睨みつける。 目深に被ったフードから覗くアサシンの口元に、僅かに笑みが浮かぶ、その時だった。 アサシンの右手が、すっと差し出される、そしてその手に持っているものをみて、衛兵達は目を丸くした。 手にすっぽりと収まる大きさの球体。 「ば、爆弾だ!」 衛兵のうちの誰かが叫んだ、衛兵隊達がひるみ上がる、その瞬間、アサシンがその球体を力いっぱい地面に叩きつけた。 「――ッ!? なっ!」 ボンッ! という破裂音と共に球体から勢いよく煙が立ち昇る。 アサシンがもっていた物は、爆弾ではなく煙幕弾であった。辺り一面が真っ白な煙が包み込む。 それを吸い込んだ衛兵達は思わず咳き込んでしまう。 一人の『風』のメイジが、なんとか呪文を唱え、風を巻き起こす。煙が吹き飛ばされ、辺りを包んでいた煙が晴れた。 ようやく視界が確保された衛兵達はアサシンがいた場所を睨みつける。 しかし、そこに立っていたアサシンは、やはりというべきか忽然と姿を消していた。 「いない! ど、どこに!」 「ぐっ……や、奴はどこだ!」 「くそっ! どこに消えた!」 「まだ遠くに入っていない筈だ!探し出せ!」 まるで小馬鹿にするようなアサシンの手口に、衛兵達は怒りに顔を真っ赤に紅潮させながら周囲を見渡す。 そして一人の衛兵が、『レキシントン』号の船首に立つアサシンを見つけた。 「いたぞ! 船首だ!」 船首の先端に立ち、こちらを見下ろすアサシンを再び取り囲む。 アサシンの背後は地面が待ち受けている、『レキシントン』級の大きさともなると、その高さは優に数十メイルにも及ぶ。 メイジでもない限り、落ちたらまず命はないだろう。 「残念だったな、逆にお前は袋のネズミになったわけだ」 下を覗き込んでいるアサシンに、油断なく杖を突きつけながら衛兵隊長は言った。 「さてアサシン、お前が選ぶべき道は三つだ、ここで我々の魔法の矢に貫かれるか、吊るし首になるか……」 隊長がそう言った時だった、アサシンはぷいと顔をそむけ、遥か遠くの空軍発令所を見つめた。 それから何か小さく呟いたと思うと、今度はくるりとこちらを向いた。 「ここから飛び降りるか……か?」 するとアサシンは、にやっと笑うと聖人のように両手を大きく広げた。 「ま、待て! 何をする気だ!」 「何を? 決まっている、飛び降りるのさ」 嫌な予感がした隊長は、すぐさま呪文を放とうとアサシンに向け振おうとする。 だが、それよりも早くアサシンは一歩後ろへ足を踏み出した。 「Adieu!」 耳慣れぬ異国の言葉と共に、アサシンの姿が眼前から消えた、その時だった。 『レキシントン』号に凄まじい激震が轟音と共に襲いかかった。 瞬間、内部で巻きあがった巨大な爆風が甲板を突き破り、衛兵達を吹き飛ばした。 その爆発を皮きりに『レキシントン』号の内部から次々と同じような爆発が巻き起こる。 機関部に仕掛けられた大量の爆薬に火が付き、一際巨大な爆発がフネ全体を嘗めてゆく。 巨大なマストは根元からへし折れ、甲板や舷側には大きな穴が開いた。 一瞬でロサイスの軍港を地獄に塗り替えた『レキシントン』号が、自ら吐きだした炎に焼かれてゆく。 明日の演習に備え、船倉で待機していた竜達が、為すすべもなく爆発に巻き込まれ、或いは崩れ落ちる瓦礫に押しつぶされ死んでゆく。 やがて一際大きな爆発が巻き起こる、瞬間、最後の断末魔を上げるように『レキシントン』号は、船体の真ん中から真っ二つにへし折れ……。 造船所に炎をまき散らしながら、轟沈していった。 「安らかに眠れ、『王権(ロイヤル・ソヴリン)』……生まれてきた地獄に帰るがいい」 『レキシントン』号と共に爆発、炎上する造船所を背に、アサシン……エツィオが弔う様に呟いた。 「あ……あ……へぁ……」 気の抜けた声でぺたりと空軍発令所の床にへたりこんだのは神聖アルビオン帝国初代皇帝、クロムウェルその人であった。 からん、と乾いた音を立てながら、手にしていた遠眼鏡が床を転がってゆく。 目の前で爆発炎上する『レキシントン』号を目の当たりにしたせいもある、 だが、最も彼の心胆を寒からしめたものは、その轟沈する直前『レキシントン』号の船首に立っていた白衣の『アサシン』であった。 あのアサシンは、飛び降りる直前、確かにこちらを向いた、そして奴の口は、こう動いていた。 ――『次は、お前だ』 クロムウェルは、自分の身体が震えていることに気がついた。 それは恐怖から来る震えであることにすぐに気がついた。 ワルド子爵のみならず、政府高官たちを次々闇に葬っている謎のアサシンが、遂に自分を捉えたのだ。 間違いない、奴は自分の命を狙っている。ようやくその実感がわいた途端、恐怖で歯の根が合わなくなった、ガチガチと歯が音を立てる。 「ひ、ひぁああっ!」 情けない悲鳴を上げながら、たまらず机の下にもぐりこみ、頭を抱える。 ガタガタガタとクロムウェルは恐怖に打ち震えた。そこにいるのは、虚無の担い手でも、ましてや神聖アルビオン共和国初代皇帝でもない……。 ただの、無力な男の姿であった。 翌日……。 ロサイスが壊滅的被害を被ったとの報せを受け、貴族議会の緊急招集が、深夜にも関わらず唯一無事だった施設、空軍発令所にて行われていた。 本来はロンディニウムのホワイトホールで行われるものであるが、クロムウェルが指令室にこもり一歩も外に出ようとしない有様であったため、 仕方なくここ、空軍発令所で行われていたのであった。 無論、議員達には、ロサイスにはまだアサシンが潜んでいる可能性があり、皇帝の御身第一という説明がなされていた。 発令所の指令室では、ホワイトホールの椅子に比べると遥かに座り心地の悪い木の椅子に腰かけ、 これまた使い古された長方形の木のテーブルを囲みながら、神聖アルビオン共和国の閣僚や将軍達が激論を戦わせていた。 本来戦時中に用いる指令室であるためか、灯りは必要最低限のものしかなく、テーブルの上の燭台だけが、辺りを僅かに照らしていた。 「……以上が、ロサイスの被害状況です」 「ふ、ふざけるな! 警備は一体何をしていたのだ!」 報告を聞いた年若い将軍は、力強くテーブルを叩いた。 ロサイスの被害は甚大だった、旗艦『レキシントン』号を筆頭に空軍の一艦隊を丸ごと叩きつぶされた揚句、衛兵駐屯地、果ては製鉄所まで、 あのアサシンはありとあらゆる軍の主要施設を完膚なきまでに破壊して行ったのだ。 「何故捕らえられない! たった一人だぞ! たった一人のアサシンによって、なぜ我らがこうまで混乱せねばならないのだ!」 「全てはあのアサシンの仕業だ! 奴のお陰で我が軍は大損害だ! 『レキシントン』号だけでも、搭載されていた新兵器に、貴重な竜が三十騎! 駐屯していた兵達は一網打尽にされ、街は瓦礫の山! もはや損害は計りしれん!」 「それだけではない、見ろ! 我らの中にも犠牲者が出ているのだぞ! ワルド子爵を始め、もう三人も我ら貴族議会の同志が奴の手にかかってしまった!」 議員がテーブルを見渡す、最初に議会を開催した時には十五人程人数がいたはずだが……、その人数は彼の言うとおり十二人に数を減らしていた。 一人の肥えた将軍が、怯えるような声で呟いた。 「奴は本当に人か? 兵たちの間にも不安が広がっている、中には奴は『死神』だと噂をする者も……。 不遜にも始祖の末裔たる王家を滅ぼした我々に対し、お怒りになった神が遣わした死の天使だと……」 「なんだと! そんな筈があるものか! 閣下こそが始祖に使わされし『虚無』の担い手であることを忘れたか!」 興奮と怒りに目を血走らせた年若い将軍がどん! と再び力強くテーブルを叩いて立ち上がり、肥えた将軍を非難する。 「あくまで兵達の噂を言ったまでだ! 私の発言ではない!」 「そしてそれを鵜呑みにしているというのか? 冗談ではないぞ! 始祖の加護は我らにある!」 年若い将軍は、熱っぽい目で上座に座るクロムウェルを見た。 クロムウェルは内心恐怖に震えながらも、精いっぱいの威厳を保つために、必死で笑顔を作った。 「……だがそれでも、奴の為に受けた損害は計り知れぬ、奴を止めようとしたが、既に多くの命が失われてしまった……。 一個小隊がたった一人に全滅させられるなど、誰が信じる! 我等『レコン・キスタ』の旗はもはや、あのアサシンにとっては狩るべき獲物の目印でしかないのだぞ!」 「なんとしても奴を止めなければ……このままでは軍団の再編もままなりませぬ」 「ではどうする? 一人の敵に軍勢でも派遣するかね?」 「ぐっ……!?」 「じょ、冗談ではないぞ! たった一人のアサシンを倒すために軍団が動かせるか! それに、奴の居場所も、行動も、素性も! どこに属しているのかすらもわからん! しかもこれからトリステインに攻め込もうとしているというのだぞ!」 「トリステインへの侵攻はどうなる! 予定では一ヶ月後だが、軍団の再編は間にあうのか? 期を逃したら厄介なことになるぞ!」 「資金も人手も足りません! 艦隊の再編が急務かと、資金はどうなっているのですか?」 「我々に融資をしていた銀行家の内何人かは、先日奴に消されたよ……、お陰で、他の銀行家連中は奴を恐れ、我々に融資の打ち切りを申し出てきおった! 税を引き上げようにも、これ以上国民の反感を買うわけにはいかん! どうやってこの損害の穴埋めを行おうというのだ!」 「再編を行ったとしてだ、現存の艦隊だけで、トリステインを制圧できるのか?」 「閣下の『虚無』がある!」 白熱してゆく議論の中、議員の内の誰かがそう叫んだ、全員がクロムウェルを見つめる。 クロムウェルははっと顔を上げると、こほん、と気まずそうに咳をした。 「い、いやなに、諸君らも知っての通り、強力な呪文はそう何度も使えるものではない。 余が与えられる命には限りがある故……そうアテにされても困るのだ」 クロムウェルがそう言うと、どこからともなくため息が漏れた。 さすがにクロムウェルはまずいと思ったのか、立ち上がると、取りつくろう様に言った。 「と、とにかくだ、余も『虚無』の全てを理解しているとは言い難い、余は暫し『虚無』について考えたいと思う。 安心したまえ、『虚無』の担い手たる余が宣言しよう、始祖は必ず、我らをあの薄汚いアサシンから必ずや守ってくださるだろう。 今日のところはこれで閉会としよう。諸君らはいつも通り軍務に励みたまえ」 将軍や閣僚達は、起立すると、クロムウェルに向け一斉に敬礼した。 だが、一人だけ席を立たない人物がいた。 クロムウェルの丁度真向かいの席に座っていた、議論の場で最も興奮していた、年若い将軍であった。 「きみ、どうかしたのかね?」 クロムウェルが、その将軍を見て首を傾げる。 そう言えば、彼は先ほどから急に口を噤み、ずっと俯いてしまっていた。 なにやら身体が小刻みに震えている、何かあったのだろうか? 他の閣僚や将軍達もそれに気がついたのだろう、皆がその年若い将軍を一斉に見つめる。 「……なぜ立ち上がらない?」 誰かがそう呟いた、その時だった。 年若い将軍は、テーブルに両手をつくと、ゆっくりと立ち上がり、俯いていた顔を上げる。 その時だった。 「……ぁ――」 中腰の体勢まで立ち上がった途端、年若い将軍は、ぐるん、と白目をむく。 そのまま糸が切れるように、ばたりとテーブルに倒れ伏した。 彼の背中には、一本の短剣が柄の部分まで深々と突き刺さっていた。 「アサシン!」 議員の誰かが叫んだ。 その瞬間、指令室は大混乱に陥った。 「どっ……どこだっ! どこに……っ!」 「ひっ、ひぃいいいい……!」 「しっ……死神だ……奴はやはり死神だったのだ! あぁ……し、始祖ブリミルよ! お、お許しください! 罪に塗れし我らをどうかっ……!」 悲鳴と嗚咽が混じる中、ある者は杖を引き抜き、ある者は神に助けを乞う。 そんな中、ようやく内部の異常に気がついたのか、外で警備をしていた衛兵が飛び込んできた。 「な、なにが――あ!」 中に飛び込んだ見張りは、テーブルの上に倒れ伏した将軍の死体に言葉を失った。 議員達のほとんどはパニックに陥り、指令室はまさに混乱と恐怖に支配されていた。 とにかく落ち着かせよう、そう考えた衛兵は、杖を振り回り狂乱状態に陥っている一人の議員に近づいた。 「ど、どうか落ち着いてください! 我々が付いています! ここは安全です!」 「安全? 安全と言ったか! この無能め! 現にここで一人殺されたのだぞ! それもたった今! 我々の目の前でだ!」 衛兵に諌められ、激昂した議員……、トリステイン侵攻軍総司令官、サー・ジョンストンは喚きながら衛兵に掴みかかった。 「どうか冷静に! ここでパニックを起こしては奴の思う壺です!」 「冗談ではないぞ! すぐにここから出せ!」 「ま、まだ危険です! ここにいてください! あとは我々がアサシンを追いかけます!」 その言葉に、ジョンストンは益々激昂したのだろう、振り回していた杖を衛兵に突きつける。 「もしや貴様があのアサシンを手引きしたのか! そうなのだな!」 「っ! 一体何を言っているのです! なぜ私がそのような真似を!」 「ええい黙れ! そこをどけ!」 「な、何を――! ぐぁあっ!」 ジョンストンの杖から魔法の矢が放たれる。 至近距離でそれを受けた衛兵は、胸板から血を垂れ流し、ばたりと倒れ伏す。 半狂乱になったジョンストンは、そのまま指令室を飛びだすと、一目散に走り出した。 「ど、どこへ行かれるのです!」 「決まっておろう! 逃げるのだ! この中にアサシンがいるのだぞ!」 ジョンストンが向かった先は、発令所の外に設けられた馬留めだった、 馬に跨ったまま、再び衛兵たちともみ合っている。 「お待ちを! 危険です! ここは我々と共に行動してください!」 「黙れ! 貴様もアサシンか! ならばここで成敗してくれるわ!」 馬に跨ったまま杖を振い、魔法の矢で衛兵の胸を貫く。 倒れ伏した衛兵をみて、邪魔がいなくなったジョンストンは、馬に鞭を入れ、馬首を上げると、 空軍発令所から夜の闇へ向け、一目散に駆けだした。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」 どれくらい馬を走らせただろうか、一心不乱に馬を駆りロサイスから脱出したジョンストンは、ちらを周囲を見た。 周囲はひらけた街道である。深夜だからか、あたりには人の気配はなく、聞こえるのは自分の呼気と馬の蹄の音だけだ。 頭上に輝く二つの月だけが、明るくジョンストンを照らしている。 「た、助かった……」 ジョンストンは安堵のため息をつくと、馬の首にもたれかかった。その時だった。 自分の背後、はるか遠くから、馬の蹄の音が聞こえてくる。 心配した衛兵が追ってきたのだろうか? 丁度いい、その者にロンディニウムまで護衛してもらおう。 幾分か冷静さを取り戻した頭でそう考えながら、後ろを振り返る、そして、驚愕した。 その人物は、衛兵の制服を着てはいなかった、代わりに白のローブを身にまとい、同じく白のフードを目深に被っていた。 その左肩には、今は亡き王家の紋章が刺繍された赤黒いマントが風に翻っている。 二つの月を背にこちらへ馬を走らせてくるその姿は、まさに冥府から来たりし『死神』を連想させた。 「ひィッ! ひぃいいいいい!!!」 その姿をみたジョンストンは、再び恐怖に半狂乱になり、馬に拍車を入れ、再び街道を掛けた。 杖を引き抜き、背後から迫る死神に向け魔法を放つ。 だがそのどれもが当たらない、死神は絶妙な馬さばきで魔法をかわし、徐々に距離を詰めてくる。 「あ、あぁ……か、神よ! 神よ! どうか! どうか助けて! 助けて! 助けてぇ!!」 迫りくる死の恐怖に、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、必死に馬を駆る。 だが死神はジョンストンの恐怖を煽る様にゆっくりと距離を近付け……、そして遂に並走を始めた。 死神は馬上で立ち上がると、まるで軽業師のように、並走するジョンストンの馬に飛び移る。 そのままジョンストンの跨る馬に飛び乗り、ジョンストンの肩を掴むと、無防備になった頸椎目がけ、アサシンブレードを叩きこんだ。 「去れ! 悪魔め!」 「……死神には敬意を払ったらどうだ?」 「頼む! 助けてくれ! し、死にたくない!」 「いや、ダメだ」 死に瀕したジョンストンは涙を流しながらエツィオに懇願する。 だがエツィオは、彼を見下ろしたまま、冷たく言い放った。 「汝が死は無為には非ず――眠れ、安らかに」 エツィオは死体となったジョンストンの頸椎からアサシンブレードを引き抜くと、無遠慮にジョンストンの死体を馬上から街道に放り投げる。 そのままジョンストンが乗っていた馬に跨ると、エツィオは一陣の風のように街道を駆け抜けていった。 今までの追跡劇がまるで嘘だったかのように、真夜中の街道に静寂が戻る。 無残に打ち捨てられたジョンストンの死体を、二つの月が優しく照らしていた。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―